中小都市の空き家で民泊を始めるなら知っておきたいポイント

「地方の漁港でニッチな観光を楽しむ女性旅行者2人

「相続した空き家を持て余している」
「地域を活性化するために、なにかできることはないか」
「民泊で挑戦してみたいが、できるだけ少ない予算で始めたい」

こうした方におすすめなのが、中小都市の空き家を活用した民泊運営です。
観光需要の大きい大都市と比べれば目立たない市場ですが、実は中小都市にも独自の宿泊ニーズが存在し、低コストで収益化を狙える可能性があります。

1. 中小都市でも宿泊需要はある

「観光客が来ないから民泊は難しいのでは?」と思うかもしれません。
たしかに、中小都市ではホテルや旅館ほどの大規模な宿泊需要はないかもしれません。しかし、ビジネス出張やニッチ観光、地域イベントなど、一定の需要は少なからず存在します。
ここで民泊の強みが活きます。小規模でも運営でき、柔軟に対応可能。ホテルや旅館ほど固定費や人件費をかけずに済むため、小規模需要を効率よく拾える点が大きなメリットです。

  • 出張需要
    工業団地や事業所への出張者。長期滞在も多く、ビジネスホテルより広く快適な宿を好む傾向があります。

  • スポーツ・イベント需要
    部活動の遠征、スポーツ大会、地域イベントなどで短期間に人が集まるケース。家族・グループ利用に強い民泊は相性抜群です。

  • 帰省・長期滞在
    実家に泊まれない人が滞在できる場を求めて利用するケース。ホテルにはない生活感が好まれます。

  • ニッチ観光層
    百名山登山や御朱印集め、お遍路巡りなど、特定の趣味・目的で訪れる観光客。趣味の多様化で思わぬニーズが隠れている場合があります。地方ならではの宿泊需要として、滞在が長くなることもあります。


このような中小都市ならではの宿泊ニーズを的確に拾えるかどうかが成功の分かれ目です。

2. 民泊物件の選び方

これから物件を選定するのであれば、以下のポイントに気を付けて選ぶとよいでしょう。

  • サイズ感や築年数のバランス
    広い古民家は魅力的ですが、広すぎると維持費や光熱費がかさむリスクも。まずは戸建てや小規模物件が現実的です。築年数が古いものは低価格ですが、耐震性やリフォーム費用に注意。

  • 駐車場の有無
    車移動が基本の中小都市では駐車場が必須。最低1台、できれば複数台確保できると強みになります。

  • 周辺環境
    スーパー、コンビニ、病院、駅へのアクセスはゲスト満足度に直結。都会ほどのアクセスは望めませんが、車で10~20分程度で行ける範囲が理想です。

  • 庭・外構の手入れ
    庭付き物件は景観が魅力ですが、一方で雑草や虫の管理が不可欠。清掃や管理のコストも考慮しましょう。

3. 民泊運営のポイント

  • 清掃・トラブル対応の体制は開業前に整えよう
    民泊運営では通常の運営はもちろん、設備トラブルや宿泊者トラブル、近隣クレーム、災害時対応など、さまざまな問題が起こりえます。
    自分で対応できる場合でも、一人ですべてを行えるとは限りません。急な用事や体調不良で対応できないこともあります。

    そのため、清掃業者や水道・電気などの設備業者、近隣住民とつながりを作り、いざというときにすぐ対応できる体制を整えておくことが大切です。
    また、遠方で運営を管理代行業者に任せる場合でも、開業前に近隣住民とコミュニケーションを取り、情報共有の環境を作っておくと、緊急時やトラブル発生時に非常に助かります。

  • 集客はAirbnbやBooking.comを利用

    まずは一つの掲載サイト(OTA)から始めましょう。写真や説明を工夫するだけで、物件の魅力を十分に伝えられます。
    競合物件の料金設定を参考にしたり、予約が入りにくければ複数サイトに掲載することも検討。複数サイト利用時はサイトコントローラーでダブルブッキング防止をおすすめします。

  • 法律や条例の確認

    民泊を運営するには、用途地域や自治体の条例によって制限がある場合があります。たとえば、住宅専用地域では宿泊施設の営業が制限されることや、騒音や人数制限など独自のルールが定められていることもあります。
    開業前に必ず確認し、わからないことがあれば申請の前に自治体や保健所に相談しましょう。

  • ハウスマニュアルと現場での案内

    ゲストが滞在しやすいよう、近隣スーパーや飲食店情報をまとめておくと喜ばれます。
    また、ハウスマニュアルだけでなく、スイッチや設備の近くに使い方を記載したり、Googleマップで共有するなど、現場でわかる工夫をしておくとトラブル防止になります。

4. まとめ

中小都市の民泊は、大都市型観光需要を追うものではありません。
しかし、「ビジネスホテルより広く快適に」「旅館より手頃に」というニーズを満たすことで、確かな需要があります。

  • 空き家オーナーにとっては、負担物件を収益資産に変えるチャンス

  • 地域活性化を目指す方にとっては、観光客や滞在者を呼び込む手段

  • 民泊を始めたい方にとっては、現実的に一歩を踏み出せる舞台

中小都市の空き家には、眠らせておくには惜しいポテンシャルがあります。
運営体制と戦略を整えれば、民泊はその可能性を最大限に引き出す手段となるでしょう。

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